第71回学生音楽コンクール中学生部門全国大会ーポーランドで一緒に音楽祭に出演した千葉百香さんが、全国1位に輝きました!

百香ちゃんは岡本美智子先生に師事しており、大御大の有賀和子先生つながりで、いわば私とは従妹弟子になるでしょうか。

曲はリストのハンガリー狂詩曲第2番。全国大会出演者は13名で、演奏順は3番目。

ブルーのドレスで、ヘアをシンプルに後ろで結び、可愛らしい笑みをみせながらステージに現れた百香ちゃん。

しかし演奏に入ると表情が一変します。ラッシャン部分のある瞬間には苦悩の色が滲み、ある瞬間は柔和になり、心が音楽と一体化して融けあっている。

集中力といい、音に込める気迫といい、段違いの資質を感じさせてくれました。

曲の後半、フリシュカに入ってからも、娯楽的な要素を否定するかのように気迫は衰えず、本領を発揮して弾き切りました。ジプシー音楽のスタイル“ヴェルブンコシュ”を最高の形に仕上げた演奏。ブラボー!

このところ百香ちゃんの快進撃ぶりは目を見張るものがあり、イタリアイモラ音楽アカデミーで1位、秋にはアリオン音楽賞を受賞しています。

ポーランドのショパン音楽祭に演奏に来たのは、昨年夏のこと。音楽監督のトカチェフスキがどこかで百香ちゃんの演奏を耳にして、これはと注目して演奏依頼したのです。

トカチェフスキは、先日クララ・ハスキル国際コンクールで優勝した藤田真央くんのことも早くから注目し、中学3年生だった時にトカチェフスキがラブコールをして、それ以来3年間、ショパン音楽祭で演奏してくれていました。

そのあたり、我らがトカチェフスキ監督、極めて高い審美眼の持ち主です。

百香ちゃんによれば、ポーランドに演奏に行ったことで、同じく国際的に活躍する同年代のヤングピアニストたちの演奏を聴き、知り合いになり、演奏の目標を世界水準に上げることができたと言います。

さて、学生音コン全国大会では、百香ちゃんの他にも第2位森本隼太くんのメフィストワルツは、また特筆に値する演奏でした。プログラムを見ると、まだ1年生! ■私の元気のもと には「大笑い」とあります。ちなみに百香ちゃんは「睡眠」。。。

第3位馬場彩乃さんのショパン:ロンド作品16は、繊細なレースを手にしたようなセンスの良さを感じました。

セレステ香月ワグニッツさんのシューマン:アレグロ作品8は、中学2年生とは思えないふくよかなフレージングに驚かされました。中野すみれさんのラヴェル:鏡から「悲しい鳥たち」と「道化師の朝の歌」も洗練の響き。

前述のトカチェフスキが、「私は10代のピアニストたちが大好きなんだ。」と力を込めて語っていたことを思い出します。

今、それが私にもよくわかります。

10代の優秀なヤングピアニストたちは、どの音に対してもその一打限りしかないかのように、持てるすべてを賭けるのです。だから1音1音はいつも生まれたてで新鮮。その音を創り出せるのは一度限りなのだと知っていて、失敗を許さず向き合う。

人生の経験を経て、やり直しがきくことを知るのは、はたしてよいのかどうなのか。

一音に賭けるひたむきさを持ち続けたい。。。と心洗われた一日でした。