ピアノ教育のための「Miyoshiピアノメソード」は、三善晃が20年の歳月を費やして完成させた音楽活動の集大成といえます。

作曲家としては、ピアノソナタ、アン・ヴェール、ピアノ協奏曲などのピアノ作品、合唱曲、管弦楽、オペラ、電子音楽に至るまでほぼすべてのジャンルを網羅しています。

ピアノメソードの完成に注力したのはなぜだったのか。それには数々の理由が複合的に関わっていることは確かだけれども、大きく三善晃を突き動かしたのは、『日本から世界に発信するメソードの完成』だったと想像されます。

音と言葉は密接に結びついていて、クラシック音楽の大半はヨーロッパの言葉で音楽をしています。ピアノを習い始める時から、バイエルしかり、バッハ、チェルニー、トンプソン・・・。もちろんそれらもいいし、なくては成り立たない。

Miyoshiピアノメソードコンサートを聴き、私も演奏して感じることは、誰が弾いても実にしっくりと馴染むことです。奏者と音と空気が一体化して、響きの渦を空間に作り上げ自然に昇華していく。

例えばブルグミュラーを弾く時、「アラベスク」や「タランテラ」はルーツを学んで曲を形作るけれども、Miyoshiメソードの曲は、和の情緒、心と時間のゆらぎ・・・といった私たちの生活の一片が音になっていて、気負わずとも弾けばそうなる。

しかし筆致はとても精緻で、精密機械を思わせるように音がはまるべきところにあり、一つ抜けると部品が欠けたことがわかってしまう。だから練習には時間を要するのですけれど。。。

メソード7巻にこのように書かれています。

「日本の音楽家は、もうヨーロッパの真似ではなく、『音の言葉』を自分で生み出し、自分の表現する世界を人々に聴いてもらえるようになっています。」ネイティブランゲージでなくとも、言いたいことが豊かに表現できるだけの力をつけている・・この言葉はとても心強いものです。

『音の言葉』を自国から生み出そう!という三善晃の大志を、私たちは実現していきます。 (楠原祥子)