バッハコンクール…それは、楠原先生と巡り会えた大事なきっかけとなった記念すべきコンクールでした。

去年の事です。

年末の第7回日本バッハコンクール船橋地区大会で、先生は審査員をされていました。一般Aコースで参加した私は、生まれて初めてコンクールで優秀賞を頂き、全国大会への切符を手に入れて有頂天になりました。

しかし、全国大会での周りのレベルの高い演奏を目の当たりにし、愕然となりました。

このままで終わりたくない…もっとピアノが上手になりたい…!

一度は落ち込んだピアノへの情熱が再び全身にみなぎり、先生のブログを探しだし、飛び込みで体験レッスンを申し込みました。人生に於て、これほど勇気を出して飛び込んだダイビングは、他にありません。

先生は、ご高名なピアニストでありながら、音大も出ていない私を優しく受け入れて下さいました。

3歳から始めたピアノを家庭の事情で10歳でやめた時、どうしても続けたいと母へ懇願した涙。「ごめんね」と何度も謝る母の涙…。

挫折、深い悲しみ、反骨心。

長い時を経て、薬剤師というピアノとは全く違った道へ進みながらも、再び自分の力で大好きだったピアノの道へ戻ってこれた喜び。

そういったもの全てが、私の音色の原動力になっているのかもしれません。

そして、隣で喜んでくれる母の姿。

文系の頭脳だった私を180度変換させて、手に職を持ち自立した女性になって欲しいと願った母は、周囲の反対を押しきり、身を粉にして働いてくれました。

母の存在がなかったら、今の私はなかったでしょう。

今年のバッハコンクール。結果は奨励賞。難しいと言われる平均律で頂けたかけがえのない嬉しいご褒美となりました。

また、今年初めて参加した三善晃ピアノコンクールでは、東京予選を突破する事が出来ました。

導いて下さった先生に、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも、ピアノを生涯の友、宝物として、日々精進していきたいと思っています。

藤田貴舟子