ピリオド楽器による第1回ショパン国際コンクールについて、日本ピアノ教育連盟広報誌に書いたレポート記事を数人のピアノ関係者が読んで下さり、お褒め頂きました!ちょっと嬉しかったです。

2位になった川口成彦さんも読んでくれたとのこと。

その時代の楽器、つまりピリオド楽器で演奏を聴くことがもたらす興味の広がりは尽きないものです。

先日生徒さんが持ってきたシューベルトのソナタD845イ短調を、早速フォルテピアノで聴いてみたくなり、Youtubeを検索すると、おー、ちょうどAndreas Staierの演奏があるではありませんか。ショパンピリオド楽器コンクールの審査員です。正直に言うと、それまでは知らない存在でした。

フォルテピアノだと、音はか細くなるものの、それでも曲調には変わりないことがわかります。

おりしも、14日に王子の北とぴあで、川口成彦さんのシューベルトプログラムによるリサイタルがあり、ワルシャワで集ったお仲間も行くので、無理やり都合をつけて聴きに行きました。

使用楽器はヨハン・ゲオルク・グレーバー。1820年インスブルックで制作された楽器です。

ペダルは5本もついている。川口くんの説明によれば、一番右はモダンピアノと同じ。一番左はいわゆるウナ・コルダ。鍵盤がずれることでハンマーが打つ弦が1本になって弱音になる。

それ以外の3本はいったい何のペダルだ?という話です。

そのうち1本は、踏むとペーパーが弦とハンマーの間に出てきて、び~~~んという奇妙な効果音が鳴る仕組み。

その他の2本は、踏むとフェルト布が弦とハンマーの間に挟まれ、ごく弱音がでる仕組み。

フォルテピアノは、いわば一期一会。楽器によってひとつひとつ異なる音色や性格を持つ。ウィーン式アクションのこの楽器は、当時演奏会の度に持ち運びされて、あちこちで使われたのでしょう。

イギリス式アクションの楽器になってメタルが使われるようになると、重量が増え、設置したままになったため、ペダルも誰でもが使えるように2本に整理されたのでした。

さて川口くんのシューベルト即興曲はとても繊細で、モダン楽器の音に慣れた耳で聴くと・・・・ん??聴こえないぞ、という部分も。

どのようにペダル機能を使うかは演奏者次第なのですから、川口くんの意図でそうしているわけで、本当に耳を澄ましてようやく旋律線がわかるという部分も。演奏者のディナミークの意図がこうまで明らかになることはモダンピアノでは少ないので、驚きすらおぼえます。

リヒャルト・シュトラウス:クーベルヴィーザーワルツ、プーランク:シューベルトを讃えて、リスト:海辺にて、ゴドフスキ:万霊節のための連祷。これらキャラクターピースは初めて聴くものばかりです。

R.シュトラウスのワルツは、聴いていて、やや??これはヨハン・シュトラウスではと思えたほど万人に馴染みやすい旋律で意外。

ゴドフスキといえば超絶技巧ですが、この曲はいわゆるゴドフスキらしさとは種が異なるようでした。

そしてシューベルト:3つのピアノ曲D946.

この大作は、これまでアンドラーシュ・シフやジョアオ・ピリスの演奏会で聴き、30分近い『大曲』ととらえていたのですが、川口くんの手にかかると、一陣の風のうなりのようで、大作という印象は影をひそめます。

代わって聴こえてきたのは、これぞ、シューベルトの時代に響いた音だったに違いないと思わせる、繊細で細やかなニュアンスに富んだ音楽でした。記憶に残る演奏!

さてさて。。。楽しかったのはそれから。打ち上げです!王子駅への途中にある気軽なビストロ風のお店。選んで入ったわけではないのに美味しいお店で、みんながあきれるほど頼み過ぎました!

川口くんも合流して、いづみこさん、藤岡さん、檜さん、後藤さん、そして芸大時代の川口くんの同級生も!

11月24日19時よりNHK-BS1で、ショパン国際ピリオド楽器コンクールのドキュメンタリーが100分番組で放映されるそうです。

前方の席で聴いていたので、映ってしまっていたら困るなぁ。口あけて居眠りはしなかったつもりですけど!