先週末は、京都でピティナコンペティションのグランミューズ部門の審査でした。

京都はどの季節にもよさがいっぱい!

今回は審査の前日に、ポーランド留学時代からずっと親しくしている大津在住の雅子さんと、大原にある三千院を訪ねました。

静かな里の風景。。。とても心癒された半日でした。

さてと。。その審査です。

グランミューズ部門はいくつかのカテゴリーに分類され、これがややややこしい。

年齢別に40歳以上、23歳以上、高卒以上、中3以上と4カテゴリーあり、40歳以上、23歳以上においては、A音大卒、Bアマチュアと2つに分かれます。それに加えて連弾部門もあります。

すべて自由曲を1曲演奏。

普段あまり演奏されない曲を聴けるチャンスでもあります。

近年はレベルが非常に高くなっているとされるので、どの程度なのか、またどのような演奏なのか、聴くのが楽しみでした。

審査委員長は作曲家の村木ひろの先生。ほか私達の計5名で審査にあたります。芸大と桐朋の先輩後輩の間柄で気心知れていることが幸いし、終始明るい雰囲気。意外にこのことは大切で、休憩時間に控室に戻った時に雰囲気が固いと、ずっと緊張が続きます。

10時。連弾からスタートです。

いきなりカプースチン! カプースチンの『シンフォニエッタ』、次はサン=サーンスの『死の舞踏』、そしてシャミナードの『シンバルのステップ』と面白い曲が続きます。

珍しい曲を弾けば点数が上がるかというと、それは大いなる勘違いで、知られていない曲でも、よい仕上がりかそうでないかはそれなりに聴こえてきます。

連弾の定番曲、ラヴェルの『マ・メール・ロワ』。こういうのが出てくると、ホント、ホッとします。判断の基準が自分の中にあるし、何より心に染み入るよい曲ですよね。

なかなか難儀するのが演奏カットです。制限時間は5分、ほぼ全曲途中でカットします。

グランミューズにおいては、フレーズの途中であっても、あと1小節で終わりであろうと、多少非音楽的なことになっても機械的にカットせよ、と明記されています。5分が経過すれば非情にチリンチリンを鳴らします。

まずは横山先生がカット係。ストップウォッチを置き、5分が来たらチリンチリン。しかも講評も書く。けっこう忙しいはずなのに平然とこなされています。

ところが、途中からそのストップウォッチが妙な音をたてることがわかり、演奏の妨げになると困るため、スマホのストップウォッチを使えば、と提案した私にカット係がまわってきました。

うっかりスタートボタンを忘れると、となりの横山先生がツンツンつついて下さる。講評書きに夢中で、うっかり5分過ぎそうになると、横山先生がつついて下さる。おかげさまで、欠場者ゼロだったにも関わらず、二人三脚の協力体制で、最後までピッタリ時間通り進行しました。

Jカテゴリー(高校生)、Yカテゴリー(大学生)はさすがにレベルが高い。ラフマニノフの『ソナタ』、プロコフィエフの『ソナタ第3番』、リストの『バラード第2番』などきっちり仕上げてあります。

その中に極めてレアな曲がありました。シャルル・アルカンの『全ての短調による12の練習曲 Op.39 第3番 悪魔のスケルツォ』という作品。

これを聴けたことには感謝です。アルカンはショパンと同時期にパリで最高の人気を誇り、カルクブレンナーなど並び称される大ピアニストでした。当時ピアノの機能の発達に伴い、量産されたヴィルトゥオーゾ的エチュードの一つでしょうか。

プーランクの『メランコリー』という曲も珍しい。と、思うのは私だけではないことを祈るものですが、気分が滅入りそうになるメランコリーとは違い、ノスタルジー的な、しかしかなりの難曲と思われました。こういう曲をアピール性強く演奏するのは至難では??

心をえぐるようなチャイコフスキーの『ドゥムカ』も。なぜかチャイコフスキーが好き。『エフゲニー・オネーギン』も見始めたら止められない。レンスキーのアリアは聴くたびに心の琴線に触れて、ロシアの地に気持ちが拐われます。ドゥムカは分類としては「バラード」と同じく民話や民間伝承がベースの曲で、人々の営みが投影されていきます。

なるほどなるほど。。。事前の噂通りにレベルが高いので、いくら聴いても飽きることなどなく経過していきます。

午後になってから「次の部門は微笑ましい演奏もあるかもしれません。」とやおら主催の方がおっしゃいます。次はB2カテゴリーで40歳以上のアマチュアのカテゴリー。

いえいえ、いえいえ、とんでもない。微笑ましい演奏など1曲もありませんでした。

シマノフスキの『前奏曲集』、ラフマニノフの『前奏曲ニ長調』。ポリメロディが美しく、クライマクスへの運びも見事。味わい深く考え抜かれた演奏を聴かせて頂きました。

シチェドリンの『バッソ・オスティナート』はショスタコーヴィチを思わせ、無機的でありながら左手のオクターブの連続の推進力がすごい。

スカルラッティのソナタでは、恐らくチェンバロを模した響きを意図して出すためにペダルを多用した演奏があり、ピアノでこのような響きを創作するに至るのはすごいなぁと感心しました。

20時。さすがに疲れも出てきた頃にすべて終了。

私達桐朋組3名はそれから焼き鳥を食べに行き、大いに盛り上がったのでした!

ホテルに入ったのは10時過ぎ。グランヴィアで快適にスヤスヤ〜でした。

楠原祥子

(翌朝は続きをどうぞ。)