6月8日(金)カワイ千葉の主催により、Miyoshiピアノメソード第1、2巻を使った導入期の指導法講座をさせて頂きました。

千葉県在住のピアノ指導者の方々と、実践形式の勉強会としてスタートです。

三善晃先生が他界されて5年。このメソードが出版されて15年が経過します。

当初、三善先生から直接セミナーを受講しました。学生の時以来の三善先生の講義です。

ピアノ上達に必須の要素を体系的に図表化して発展させていく、つまりそれこそが “ピアノメソード” のあるべき姿であるという内容でした。

その発展は決して直線的ではなく、螺旋階段状に上昇します。多種の要素をめぐりながら、豊かさを伴ってピアノが上達していく。短期決戦型ではなく、後の実りをめざすタイプでしょうか。

講義が終わると次は実践です。

ほやほやの私たちが行う講座を聴きに来られて(チェックしに来られと言うべきか?!)、機嫌よく帰って行かれたり、不機嫌な顔で早々にフェードアウトされたりしたものでした。

さて、今回の私の提案は、1,2巻を使った下の2点です。

1、ピアノを初めて習うその日から始める先生との連弾奏。

2、すでに習っている生徒と、必ずレッスンの始めに連弾奏。

子供の初レッスン。3、4歳児でも音をだすことはできます。

ド~~ ド~~ ド~~ ド~~ ド~~

ドくらいなら簡単だよ、と思われるでしょうが、3,4歳児ではそうはいかない。やおら「ド」の周辺をベシバシ叩き始めたり、何回か弾くと飽きてとんでもない行動に出たりします。

しかし先生はめげてはならず、書いてある和声を弾き続けます。ただただ、いつか譜面通りに美しいハーモニーが生まれることを信じて。

音楽的な子供は、この連弾で、和音に中に自分の「ド」がとけ込んでいるのがわかり、耳を開いて聴こうとします。

そうしたら、「ちょっとコワ~イ音のをやってみようか。」とバスがうんと低い短調の和声をつけたり(第1巻P22③)、「こういうカッコいいのはどう?」(P22⑥)とドラマティックなものに替えていきます。

集中力が途切れてきたら、スッと次のことに移ります。

ド、レ、ミ、ファ、ソを順々に弾く音階です。(P46、P52)これは子供はみんな大好き。

移していくことがちょっとした緊張をもたらし、次の音がいつも新鮮だからでしょう。上ったら、下りもやってみます。

今度は左手を使って、「ミ、レ、ド、シ、ラ」と下りる音階です(P53)。

短調になるので、一言「曇っちゃったね。」と添えてあげると、音を出すことだけに夢中だった子供がふと我に返って、何かしら自分のイメージをしゃべり始めたりします。

実際の3,4歳児のレッスンはそんな具合に進んでいきますが、今日は指導者の方々にペアを組んで頂き、生徒役と先生役になって連弾奏です。

大人同士でも、すぐにピタリとよい響きを作り出せるペアは稀で、みなさんおっかなびっくり、パートナーの様子を伺いながら探り合っています。

よい響きをピアノから引き出すことが難しい方もいます。腕からの重みを指先に伝えられない、或いは、どういう響きがよいかわからない、という問題を抱えているケースです。

その時は、腕を支え、手を取って、腕の重みの落とし方をヘルプします。よい音が出るまで。根気強く。

音が変わっていくのを耳でとらえるように、一つの音を何十回となく繰り返します。そしてよい音がプロデュースできると、耳がそれを覚え、テクニックがついていきます。

大人にもMiyoshiメソードは非常にお役立ちで、よい音を獲得するために1,2巻がとても有効です。

2巻になると、連弾の和声は驚くべき進化をとげ、三善晃の格調高い和声を味わうことができます。

『あしぶみまじえて』のシリーズは、曲ごと和声変化がすごいと感じる8曲です。

オーソドクス和声、悲劇的、慈愛、マジカル。。。と雰囲気が1曲ずつガラリと変貌するのです。

子供はまだたいしたことはせずで、レッスンに来て間もないのだから、やれることはドレミファソ、ソラシドレ、など5つの音を弾くのがせいぜい。

それなのに、先生との連弾によってその5音は芸術にもなり得るのです。

曲によっての変化も一言ずつ添えてあげるのと、素通りしてしまうのとでは、生徒の吸収に大きな差が生じます。「この曲はお祈りしているみたいだね。」とか、「これ手品師みたいじゃな~い?」とか。

心に踏み込むように、言葉で心を通わせながら、顔を見合わせながら一緒に音楽を作っていきます。

調性音楽は、音楽の歴史において決して長くはないながら、それでもバッハ以来、300年間も演奏され続けているのはなぜかと言えば、人間の感情の表と裏、微妙な心のひだまで表現が可能だからで、いわば私たちの分身なのです。

導入からその豊かさを聴いて育つ。それがMiyoshiピアノメソードの提案です。

さて、指導者の先生方には次回まで実際のレッスンで実践して頂き、第2回10月の時に感想や問題点をフィードバックして頂きます。

どんなことが見えてくるか、それを楽しみにしましょう。

何より、カワイ千葉の田中店長、スタッフのみなさまに御礼を申し上げます。田中店長の力は偉大なり!

着任後の初セミナーとして企画して下さった配慮を嬉しく思い、受講された千葉県在住のピアノ指導者の方々とのつながりを発展させていきたいと思います!

楠原祥子